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安倍政権の本質を探る

 自民党の河井克行前法相とその妻で同党の案里参院議員陣営に、昨年7月の
参院選の前に党本部から1億5000万円が振り込まれたと報じられた。
その潤沢な資金にものを言わせ、ともに自民党から立候補した溝手顕正氏を敗って初当選をしたという。
 多くのメディアで報じられているが、どうやら溝手氏は、かつて消費税増税
関連法案への賛成と引き換えに衆院選を迫る「話し合い解散」を主張した安倍
氏を、会見で「もう過去の人」と非難したことにより、安倍氏から恨みを買い、
その報復として“側近”の一人である河井克之氏の妻(案里氏)に肩入れし、
法外な1億5000万円という選挙資金を党本部から送るよう指示したようだ。

 自分に異見を唱える者を個人的に恨み、排除するというやり方は、これに始
まったことではない。地方に自民党候補者の応援演説をした際に、ヤジを飛ば
した一般市民を警察官が排除するといったこともある。
 その警察官が個人としての判断で、実力行使をしたわけでもない一般市民を
強制的にその場から排除したわけではあるまい。おそらく上からの指示で実力
行使に出たのであろうし、上は上で安倍首相に対する“忖度”する気持ちで、
それを行わせたのであろう。
 その忖度を生じせしめたのは、かつての安倍首相の街頭応援演説の際、ヤジ
を飛ばした市民を指して『あんな人たち』と主権者である市民(行政府の長で
ある自分自身が、有権者の負託をうけてその任についていることを忘れて)を
口走ってしまったことも一因としてあるだろう。
 公僕の代表であり、全体に奉仕する責務を持つという自分の立場もわきまえ
ずに、政権を担わせてくれている国民を、乱暴にも『あんな人たち』と言って
のける不見識は、政治家として最も大切な何かが欠落していると言わざるを得
ない。
 
 立場をわきまえないと言えば、彼の人は行政府の長であるにもかかわらず、
自らを「立法府の長」であると発言したことが幾度かある。こうした見境のな
い姿勢が現政権の通奏低音にあると私は見ている。
 公と私の区別がつかないというのもその一つ。だから「桜を見る会」への
不審が晴れないのだ。首相は、その会の挨拶で『公明党の山口代表をはじめ
ご来賓の皆様、お忙しい中、こんなにたくさんの皆様、足を運んでいただき
ました。(中略)今回の桜を見る会、64回目ですが、山口さんや皆さんと共
に政権を奪還してから、7回目の『桜を見る会』となりました』
 そもそも桜を見る会は、“国”の行事であるはずなのに、ここでは支持者
の集まりであるかのごとき表現がなされている。
政権奪還に功労があった人たちに対する慰労会としか思えない挨拶内容だか
らであるか。
 聞くところでは、『国会では、いつまで桜を見る会の問題をつついている
のか、もっと大事な議論すべきことがあるだろう』と言っている市民も多い
という。だが、桜などどうでも良いのだ。実は、「桜を見る会」で見えている、
この政権の根っこにある見境のない身勝手さや誰がどう見ても「虚偽」とし
か思えない説明を平然とし続ける姿勢を問題にしているのだ。

 それは「私」にこだわっている自覚がないままに、「公」が重要なものと
して長年かけて大切に育ててきたあれこれを、改革、革命、奪還などの勇ま
しい言葉を弄しながら(白紙委任したわけでもないにもかかわらず)、民の
声を無視して変えてきた姿勢にも表れている。
 そうした「私」がこだわり続ける信念を、多くの人が持つ「公」のものだ
と思い込む勘違いがどこから生じるのか判然としないが、その思い込みが自
分を支持する者を大切にし、優遇するという「ひいき」の政治姿勢につなが
っていることは火を見るよりも明らかだ。
 この政権のありようからは、『「自分」の「自分」による「自分」のための
政治』という姿勢しか感じられないのだ。
 モリトモ問題も加計問題もすべてそこから発しているに違いないと感じて
いる国民は多いはずだ。

=この稿続く=

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