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続々々 安倍政権の本質を探る

 先月の11日で東日本大震災から9年目を迎えた。文字通り未曾有の大災害
で、地震とそれに続く大津波、さらには福島第一原子力発電所の事故により、
未だに故郷を追われ、避難生活を余儀なくされておいでの方が4万7737人
もおいでになる。あの原発事故さえなければ、と強い思いで悔やんでおいでの
方は少なくないはずだ。
 かつてオリンピック招致の際に、『汚染水は完全にコントロールされていて』
日本は“安全だ”と現実の状況を無視して宣伝したのは、誰あろう安倍首相で
ある。その際、多くの人は何を根拠にと驚いたり呆れたりしたはずだ。
 このリアリティーのなさは、(根拠はともかく)首相である自分がそう言っ
ているのだから、そうなるはずだし、そうでなければならないという思い込み
に起因するとしか思えない。森羅万象を司る神になったかのような思い上がり
にも似た態度を、かつて私はこのブログの中で“魔法使いの弟子”のようだと
書いたことがある。

 魔法を使いこなす力が不足しているにもかかわらず、師の魔法使いの留守中
に魔法の箒に掃除をさせ、床が水浸しになっても箒の動きをコントロールする
ことができず、自分の力のなさを思い知るというディズニーの映画でもお馴染
みの話である。
 魔法の箒を操るチャンスを得た魔法使いの弟子は有頂天になったことであろ
うが、その様子が長い安倍政権の“やりたい放題”とも言える暴走、荒っぽい
振る舞いとだぶって見えたからこそ、「魔法使いの弟子のようだ」と記したの
だ。力不足であるにもかかわらず政権という魔法の箒を手に入れたが、その使
い方を誤っているという姿にもそれが表れている。
 魔法使いでもないのに魔法使いであるかのように自分を過大に認識するとい
う姿、その余り法を無視し、国会を軽視して顧みることのない姿からは、現実
に起きていることに正面から向き合い解決しようという意思や、これからどの
ようなことが起きるかと想像力を働かせる力、主権者である国民が恐れている
ことに気づかない共感する力などの無さなどがくっきりと浮かび上がる。

 いま全世界を覆う新型コロナ感染が、現政権の問題点をこれまで以上にあば
いてくれているように見える。
 対策の遅れ、迷走ぶり、お門違いと揶揄されるような危機への対応、そして
国民の困窮に応えようとしない(あるいは応えられない)姿勢、そして相変わ
らず「かつてない規模の108兆円の緊急経済対策」が見せかけだけのものに過
ぎなかったなどということに象徴される国民を欺く姿勢、さらには海外記者の
質問に『例えば最悪の事態になった時、私が責任を取ればいいというものでは
ありません。』と回答したことに見える無責任な姿勢等々、枚挙にいとまがな
いほどの問題点を次々と露呈しているのだ。
 
 これはもはや民主社会に於ける政治の景色ではない。
 私が見るところ、そのいずれもが政権の運営が“国や国民のために”では
なく、権力を私(わたくし)できる政権維持のためのものでしかないからだ
と思えてならない。
 得体の知れないアベノミクスの失政が露呈されるのを恐れ、五輪の延期や
中止で自己の功績が無に帰すことを恐れるなどしたために、恐るべき新型コ
ロナウィルスの感染拡大を防ぐチャンスを逸してしまったというのも、国や
国民の安全を二の次にした手ひどいツケだと国民の多くは気づいたはずだ。
 政権維持に不都合な事実は明らかにしない、明らかになったとしても無か
ったことにする。事実を明らかにしようとする者には報復人事や攻撃、圧力
で黙らせる。“やっている感”を見せ、国民の目を他にそらして支持を得よ
うとする。などのおよそ近代社会で起きていることとは思えない反社会勢力
の手口に似た手段が横行しているのも、法治社会のあるべき姿とは遠く隔た
っており、独裁政治そのものだと言って良い。

 かつて陳舜臣は、『小説 十八史略』の中で、次のように記していた。
 『権力を握った者にとって、その維持はなによりも優先する。とくに無能で
権力の座についている者は、そうである。』
 まさに“あってはならない”“残念な”“醜い”状況が国民の目に前で展開
されていると言って過言ではない。魔法使いの弟子が魔法使いになれたかのよ
うに過信(或いは自己認識を誤り)して、無知で無恥だからこそ常識外れな乱暴な振る舞いで大切なものをことごとく破壊し、その挙げ句「しでかしてしまった混乱状態」への解決の手段を見いだすことができず、右往左往しているの
が現在の状態なのだ。
 それに拍車をかけているのが、国民に向けて発せられる首相のメッセージだ。
 残念なことに『台本営発表』と揶揄されるように、原稿を早口で読むだけの
メッセージで、しかも国民には何も響いてこないからだ。
 ドイツのメルケル首相は、コロナ禍についてまず事態が深刻であることを
訴え、『第2次世界大戦以来、我が国においてこれほどまでに一致団結を要
する挑戦はなかったのだ』とし、国民の生活について『理性と将来を見据え
た判断を持って国家が機能し続けるよう、供給は引き続き確保され、可能な
限り多くの経済活動が維持できるようにします。』と約束したのだ。
 その上で『経済的影響を緩和させるため、そして何よりも皆さんの職場が
確保されるよう、連邦政府は出来る限りのことをしていきます。企業と従業
員がこの困難な試練を乗越えるために必要なものを支援していきます。そし
て安心していただきたいのは、食糧の供給については心配無用であり、スー
パーの棚が1日で空になったとしてもすぐに補充されます』と、政府の役割
について述べ、『私たちがどれほど脆弱であるか、どれほど他者の思いやり
ある行動に依存しているかということ、それと同時に、私たちが協力し合う
ことでいかにお互いを守り、強めることができるか、ということです。状況
は深刻で未解決ですが、お互いが規律を遵守し、実行することで状況は変わ
っていくでしょう』訴えたのだ。
 ここで強く思うのは、自分の言葉でこの困難な危機と恐怖を乗り越える為
に自分も極力頑張るから国民の皆さんも頑張りましょう、と訴え届けること
の大切さだ。
それを可能にするのは、メッセージを発する人物の「知性」と「見識」であ
ろう。
飜って日本の状況はいかがなものか。彼我の差に愕然とするばかりだ。

 
=この稿続く=

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