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潔さに欠ける年

 ボクシングの亀田三兄弟と言えば、今や日本中で知らない人は皆無であろうと思われるほどの超のつく有名な家族。
 中には、あれは三兄弟ではなく、父親を兄貴分とした四兄弟ではないか、と揶揄する人がいるほど目に余る暴言と傍若無人な振る舞いを親子揃ってしてきたファミリー。
東京の葛飾内に住んでいるとか。どうやら「勝つしかない」の語呂合わせで葛飾内に住んでいるようだが、ある人は「葛飾区内」とすれば「勝つ資格ない」と読めるぞ、と茶化している。これは笑える。

 そんな親子が(選手は次男だが)こともあろうに世界選手権試合でいくつもの反則をしでかし、JBCから処分を受け、昨日謝罪会見を行った様子が報道された。
 笑ってしまったのは、当の次男が金髪をきれいに刈って坊主頭になり、しかも神妙な面持ちで終始力無くうつむき憔悴しきった(とマスコミは言うが、私には単なるジェスチャーにしか見えなかった)ような表情でいる姿を見た時である。あれだけ大口をたたき、人もなげに対戦者に対して無礼な態度で挑発をくり返すという「牙をむいた野犬」のような人物が、JBCから処分を言い渡された途端、心神喪失のような状態になって人前に現れるということに、ばかばかしさを禁じ得なかったからである。

 どうやらこうした変わり身は、今年の「流行(はやり)」であるかのようだ。
 向かうところ敵なしだった横綱「朝青龍」が、相撲協会から処分を宣告された途端に、精神を病み、引きこもり状態になって口もきけなくなってしまい、ついには故郷モンゴルで心の病の治療も含めて、というよりも元々の腰の怪我について治療はどこへやら、その心の病を治癒するのが先決とばかり日本を離れてしまった姿とだぶるからである。
これだって、やれ神経衰弱だのうつ病の一歩手前だのと報道されたが、どこからどう見てもそうは見えない「ふてぶてしさをひた隠しにしたジェスチャー」としか思えなかった。

 それだけではない。
 権力を手にして、強行採決に次ぐ強行採決で「(国民のためにではなく)自分の望むこと」のために法律を矢継ぎ早に成立させた総理大臣が、アメリカからちょっとプレッシャーをかけられただけで説明にならないような説明しかできないほど理性を失い、あろうことか国会が開かれるやいなや「涙ながらに」政権を放り出してしまうという、大人げないまさに無責任な辞め方をしたのも、上の二人の姿と似たものを感じさせる。

 大口をたたいて虚勢をはり、必要以上に強さを誇示する姿と、その末に見せた「余りにも弱々しい姿」「情けない姿」にギャップがありすぎるが、そうした姿を今年は少なくても三度も見てしまったことになる。もっともここで見せた弱り切った姿ですら(何度も言うようだが)、パフォーマンスに過ぎないと思われるのだが。
自分のしたことについて、きちんとした説明を自分にも社会にもできず、虚勢の末の「病を装った社会からの逃避」の姿がこれらから見て取れる。
 三人のどの姿からも、自己のおかした失敗を悔いて「落ち込んでいる様子」ではなく、そこに追い込まれてしまったことを「なぜだ」と逆恨みしたり、ふてくされている様子しか見えてこないのは、私だけではあるまい。
 その意味で、今年は大人としての「潔さ」に欠ける、あるいは「潔さ」の対極にある「不貞腐れ」の年と名付けて良いかも知れない。


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