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橋下市長、いかがなものか

 先日起きてしまった桜宮高校のバスケット部主将の体罰を苦にしての自殺問題に関して、橋下市長の発言が問題になっている。どう見てもこの人は、問題のとらえ方を誤っているようにしか思えない。
 体罰を起こしてしまったのは、バスケット部の顧問であり、まずもって彼の責任を問うべきで、さらには強豪校にまでのしあげた彼の実績をおもんばかって指導管理できなかった学校もその責が問われるべきであろう。
 ところが、『この校風・体質、そういうものは、もう1回ゼロにする』と発言して、まるでオールリセットしなければ問題の解決をみることができないかのような、乱暴かつ短絡的そして幼稚とも言えるような発言を繰り返している。
 すべてをゼロにしてしまえば問題が解決するという考えは、まるでゲームか何かのようである。この人のこれまでの発言と同様、それは煽動的・刺激的であるが、体罰の根絶にはつながらないはずだ。いわば「なかったこと」にしてしまい、強豪校をめざすことと強い指導の間に横たわる問題を凝視することなく、ゼロにすれば「これからはなくなる」と安易に考えているとしか思えないからである。

 さらに一昨日のニュースでは『今春の同高入試で体育科(定員80人)とスポーツ健康科学科(同40人)の募集を中止すべきだとする考えを明らかにした』と報じられていた。 驚くばかりである。この春の入学を志望して努力してきた受験生の行き場をなくしても、自分の強権を発動しようとするかのようなこの発言には憤りすら覚える。
 また今日のニュースでは、桜宮高校の全教員約70人の総入れ替えを市教委に要請したという。そして『最低限、体育会系のクラブ活動顧問の入れ替えだ。春に顧問が残っているようなら、体育教師分の人件費を執行しない』とも述べていると伝えられている。
 私立高校とはいえ、市長の一存で人事を恣意的にいじられるようなことがあってはなるまい。しかも、ここでも「人事の総入れ替え」を主張し、リセットしか残された道はないのだという凝り固まった考えを押し通そうとし、それができないのなら人件費の執行を止めるとまで言い放っているのだ。まるで子どもではないか。自分だけが「正義」で、その正義を行うためにはどのような乱暴なことをしても良い、関係の無い教員や受験生の夢など犠牲にしてもいっこうにかまわないのだ、と強く思い込んでいるのだろう。

 そればかりか、問題となっているバスケット部、バレー部以外の全運動部も体罰の有無の調査が終わるまで停止としたのだという。市長は『仲間が死んだのだから、今何をすべきか考えてもらいたい。この状況で部活をやったら、人間としてはダメだ』と説明しているというが、『人間としてダメ』とまで口汚く罵るというのは、あまりにも説得力に欠けるし、真摯に問題に向き合う姿勢についていぶかしくなる発言ではないか。

 教職員の総入れ替えにしても、体育科・スポーツ健康科応募の中止にしても、体育教師の人件費執行停止にしても、そして部活の一斉停止にしても、何かもいっしょくたにして
『すべてダメ』と断言し全否定するばかりでは、問題の所在についてきちんと整理しとらえることができていないことを露呈するばかりであろう。
 こうした乱暴あるいは粗雑な言動が、一方では「強いリーダーとしての資質」を持った存在であるかのように見える一因でもあり、支持をうける要因にもなっているのであろうが、こうした人が権力の座に着いたときに何が起きるかということについて支持している人々は一度立ち止まって冷静に考えた方が良い。
自分の論理だけを声高に押しつけるこうした人に比べれば、『この問題はバスケ部の問題で、他のクラブには関係ない。自分たちが練習したくてもできない状況はしかたないが、どうして、他のクラブにまで影響するようなやり方をするのか。僕たちの思いや言い分も聞いてほしい』と訴えるバスケット部の生徒の方が、よほど問題をきちんととらえることができているようにしか見えない。
 『人間としてダメ』なのはどちらなのか、と言いたくなるような不快な話題である。
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